変わっていく仕事内容
職場に報告
入院手術が決定したことにより、一定期間仕事を休むことになる。
職場への報告は必要不可欠だ。
園長先生に病気について伝えることにした。
検査を受けたこと、がんが見つかり入院手術が必要なこと、退院後は事務作業からの復帰になること。
入院までは今まで通り働けることを伝えた。
できるだけ重くならないよう、淡々と。
普段、職場の誰よりも元気一杯である私からの報告は、とても驚かれた。
次の日、園長先生から病休の説明があった。
私の勤める幼稚園の園長は、今年昇進したばかり。
笑顔が素敵でとっても話しやすい。
優しいお姉さんのような人だ。
病気での長期休暇について、教育委員会のベテラン先生にいろいろと問い合わせてくれたらしい。
そこで、勤務方法についても助言があったようだ。
勤務の仕方なんだけど…
外遊びには入らずに、主に職員室で壁面や製作物の事務作業をお願いしたいと思います。
元気だから、動けますよ!
病院でも今まで通り働いて大丈夫って言われました。
う~ん
上からね。
何かあってからじゃだめだからって。
それ以上は言えなかった。
園長先生が教育委員会との板挟みになるのは嫌だ。
ただでさえ迷惑かけるんだから。
ただ、子どもたちの成長をそばで見守ることができなくなってしまった。
それが寂しい。
子どもは毎日、一瞬一瞬で成長している。
新たな発見で目を輝かせ、考えながら言葉を見つけ、懸命に思いを伝えている。
そんな一瞬に立ち会えていることにいつも幸せを感じていた。
職員室から見える景色
職員室の一番廊下側、園庭の近くに私の机はある。
そこで壁面飾りを作りながら、園庭の子どもたちの声に耳を傾ける。
園庭では運動会の練習。
つい最近まで、私もあの中にいた。
支援の必要な子どもに対し、自分で動きやすいように声掛けをしていた。
みんなと違う行動をとる子のきっかけを見つけ、担任に報告していた。
子どもたちと一緒に、目一杯体操していた。
そんな日々がまるで嘘だったかのように、職員室から見ているというだけで、その景色は全く違うものにみえた。
運動会には参加する予定だった。
しかし、それも叶わなくなってしまった。
これからダンス踊るので、よかったら先生見てくださいね。
運動会のダンスの練習をするときに、声を掛けてくれる担任の先生。
子どもたちの楽しそうな表情に、思わず口元が緩む。
仕事の手を止めて、乗り出してみている私に、
子どもたちを見てたら気が紛れるかなと思って。
園長先生はにっこりと隣で微笑んだ。
信頼できる、解り合える仲間たち。
みんなそれぞれ認め合っている。
心地よい職場。
子どもたちの笑い声が遠くに聞こえる。
今もまた、元気をもらっている。